発達障害と困りごとの関係

  • 診断名が先か、困りごとが先か
  • 読めない困った
  • 書けない困った
  • 計算できない困った
  • 内申点が取れない困った

診断名が先か、困りごとが先か

発達障害を診断名と思われている方がいるかもしれませんが、違います。
厚生労働省によると、発達障害とはこうです

発達障害は、生まれつきみられる脳の働き方の違いにより、幼児のうちから行動面や情緒面に特徴がある状態です。そのため、養育者が育児の悩みを抱えたり、子どもが生きづらさを感じたりすることもあります。
発達障害があっても、本人や家族・周囲の人が特性に応じた日常生活や学校・職場での過ごし方を工夫することで、持っている力を活かしやすくなったり、日常生活の困難を軽減させたりすることができます。

発達障害|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

「状態」を表す言葉と明記されています。よく、障害という名称から誤解されやすいのです。
このこと、ご家庭でもきちんとお話し合いをしていただけたらと思います。
 心配するお母さんと認めたくない、受け入れられないご家族。そんな構図をよくお聞きします。
中には、「子どもを障がい者としたくない」とまでおっしゃる方々のお話も耳にしますが、そもそもが違うということです。
特徴は特徴としてまずは、そうなんだねと一旦受け止めてあげて欲しいと思います。そのうえでできる事がたくさんあります。
 また、成長するに伴ってその特徴があまり目立たなくなっていくお子さんもいらっしゃいます。経験や学びでカバーできることもあるのです。
そのこと、特にご両親には理解しておいていただきたいなと思います。

発達障害とよばれる特徴については、分類すると大きく3つの分野があるといわれています。
ASD 自閉症・自閉症スペクトラム
ADHD 注意欠陥多動性障害
LD 学習障害

となります。

 このうち、ASD、ADHDの二つは知的障害も併せ持つことがあります。
学習障害については、知的障害がない事が前提となりますので併せ持つことはありません。
そして、そのすべてを併せ持つ場合もあります。これらの特徴はそれぞれに程度が違っていますので一概に併せ持つから困難さが大きいとも限りませんし、一つだけの特徴でも、困り感が強い場合もあります。また、環境や他の要因が絡むことでその感じ方も様々に違っていきます。

 私の個人的な見方にはなりますが、それは風邪によく似ているかと思います。風邪という病気はないそうです。ですが、風邪はたぶん皆さんがもっともよく患う病でしょう。のどが痛い、咳が出る、鼻水がでる、発熱する。風邪だねと言われて、本当の病名は何ですかと詰め寄るひとはいないでしょう。

 これは、みな症状だとおもうのです。原因は、アデノウィルスかもしれない、コロナウィルスかもしれない。
でも、のどが痛いのが治ればいいし、倦怠感がなくなればいい。
 辛さに対応できて、それを辛いと感じなくなれば原因のウィルスをわざわざ特定しなくても大丈夫ではないでしょうか?
もちろん、いささか乱暴なものいいであることは承知しています。重篤になることもあるのでたかが風邪とはあなどれませんが、ほとんどの場合は原因ウィルスや菌を突き止めなくとも、治っていきますね。

 子供時代において、この発達障害。診断はとても大切ですが、もっと大切なのは何に困っているかではないでしょうか。その子の困っていることを知ることは案外難しいことを大人は理解していない事が多いと感じます。今日のブログでは、「困った」に着目してみたいと思います。

読めないが困った

子どもが読めないで困っている事に、どんな場面で気が付くでしょう。
例えば、
〇音読の宿題で一文字、一文字読んで時間がかかる
〇文字に興味をしめさない
〇絵本など自分で読もうとせず読んでもらいたがる
〇読み飛ばしや、勝手読みが多い
〇特殊音節を読み間違える(きっぷ、ちゅーりっぷなど)
〇似た文字を読み間違えたりする
〇読んでも何がかいてあるかわからないという

 私が塾で教えていた経験でいうと、お話ししているととても頭の回転も速く、利発なお子さんなのに文章を読む事が難しいのでよーく観察していると、どうも毎回文章の語尾を適当に読んでいたことがありました。また、て、に、を、はなども勝手に自分のいいように変えてしまって読んでいました。また、長い文章だと、途中から隣の列の分を読んでしまっている子も見られます。年齢が上がってくると、音読しなくなりますし、恥ずかしがって読まないのか、読みにくいのかなど気づきにくくなります。
読むと理解できないけど、話すのを聞くと、同じ内容でも理解できるなど気が付けるシーンがあると思います。気を付けてみてあげてくださいね

書けないが困った

書けないで困っていることに気が付くのはどんな事からでしょう
例えば
〇枠の中に字がおさまっていない
〇文字のバランスが異常に悪い
〇画数の多い漢字は見ながらでも書き写せない
〇なかなか漢字が覚えられず、トメハネはおろか、1画多い、1画少ないなど正確な文字がかけていない
〇成績は悪くないのに、漢字の書き取りテストだけ点数がとれない
〇聞いた音と書いている文字が一致していない
〇書き写すだけでも、相当の時間がかかる(エネルギーが必用そうにみえる)

 読めるけど書けないお子さんをよく見かけます。とても賢いお子さんなのに、小学校低学年で習うような漢字でもなかなか書けない事があります。テスト前に集中して覚えた漢字を翌日のテストではかけても、すぐに忘れてしまうこともあります。黒板の板書に苦労する子も多く、中学生だと書けない事を誰にも言えず、わざと書いていないように見えて怠けていると評価されてしまうこともあります。また、計算問題などでは途中式を求められますが、途中式を書く事でかえって混乱してしまい正解できない事も良くあります。代筆するだけで計算問題の正答率が格段にあがることもあります。数学で気が付くというのは、一見不思議かもしれませんが、書く事にエネルギーのいる子たちにとっては、考えることに集中できたほうが数学の問題は効率的に解けることもありますので、この辺りも私はあれ?っと思うポイントにしています。

計算できないが困った

計算できなくて困るお子さん(算数障がい)については、読み書きの障害とは別に単独で起きていることも多い困りごとのようです。

〇数詞と物の数との関わりが理解できない
〇何度おしえても計算ができるようにならない
〇単位の概念をとらえることが難しい
〇文章題で何算を利用して問題をとけばいいのか理解できない

計算ができない困りごとは、小学生になるとすぐにわかることが多いのではないでしょうか?

内申点が取れなくて困った

 さぁ、上記の事が複合してきたり、たとえ単独であっても重くなってきたとき一番困るのが「内申点」が取れなくなってくることです。
現在内申点は3つの要素を評価することになっています。これは全国で統一されました。中学校では以下の三つです
〇知識・技能
〇思考・判断・表現
〇主体的に学習に取り組む態度
 これらをどう評価し、どう判断するのかは学校によってばらつきがあるようです。ですが、まだまだ課題(宿題)の提出状況を判断材料にしている学校は多く、読める書けるが当たり前と考えられた計画や期限にはこまっている子ども達が多い事を知っておいていただきたいなとおもいます。

まとめ

 発達障害は特性であり個性です。診断もとても大切ですが、それは専門医の仕事。私達身近でサポートするもの(保護者や友人・知人・支援員の先生方、支援室の先生、放課後デイなどの支援機関の職員の方々は、その子の困りごとにもしっかり目を向けてサポートにつながるようにしていただけたらありがたいなと思います。

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投稿者プロフィール

橋本 真弓
橋本 真弓一般社団法人勇者アカデミー理事
一般社団法人勇者アカデミー理事/学習塾エンカレッジ桃花台塾長/たぶん日本で唯一PowerPlatformで学ぶプログラミング教室塾長/子ども達の学びもDX/読み書き苦手でも勉強はできる!/読めて書けるしか評価されないなんて変じゃない?ITスキルは君を助ける武器になる!という塾をやってます。